東京大学 物性研究所 新物質科学研究部門
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カゴメ格子におけるゼロ磁場量子ホール効果

 カゴメ格子上の単一バンドハバード模型の基底状態は、電子が平坦バンドを半数占有する場合、強磁性であることが厳密に知られている。我々は、この状態に、平均値がゼロの空間変調を持つ内部磁場を導入すると、系は量子ホール液体となることを示した。本模型は、グラフィンにおいて実験的検証がなされたパリティーアノマリーを示す模型の第二例目となっている。
変調磁場を導入したカゴメ格子。単位格子を点線で示した。
カゴメ格子上の強束縛モデルのバンド構造。(左) 磁場が無い場合は、平坦バンドが現れる。これは、カゴメ格子が蜂の巣格子のライングラフである事の反映である。(右) 磁場が有限となると、バンド間にギャップが開く。バンドフィリングが適当である場合、系は量子ホール液体となる。チャーン数は、上下のバンドが±1、中間のバンドが0である。

<参照文献>
  1. "Spin anisotropy and quantum Hall effect in the kagome lattice: Chiral spin state based on a ferromagnet"K. Ohgushi, S. Murakami, N. Nagaosa, Phys. Rev. B 62, R6065 (2000).